昨夜の野営地は三重と岐阜の県境が近い標高700mの山中。夜中にあまりの寒さに目が覚めた。4日連続のトレッキングの今回は、できるだけ荷重を減らすために寝袋を持たず、SOLのエスケープViviのみ。断熱仕様のペラペラのシュラフカバーのようなものである。自分で決めたことではあるが、これだけでこの寒さの山中泊を乗り切るのは無謀だった。
3時半ごろにふたたび目が醒める。横になると下半身が冷たくなって寝ていられないが、座っていれば大丈夫。外が明るくなるのを待って、5:30に撤収を開始し、6:20に行動開始。
歩き始めから道を間違えた。四阿の前の林道をそのまま東に進んだが、GPSの現在位置は90°ずれた方向に進んでいる。元の位置に戻ってよく見直すと、四阿前には道標が立っており、左下の谷に向かう木段がしつらえてあった。先行するジョンさんのGPS航跡を確認して軌道修正。急な木段を飛び跳ねるようにして下り、標高700mから一気に550mまで降下する。
6:49に橋を渡って林道を右に進む。四輪の轍のついた幅4mの非舗装路。道標の指す先に川原越の表記が出てきた。周囲はスギとヒノキが優勢で、間伐がされていて見通しが良く、下草が丁寧に刈ってある。スギの植林地の道は日当たりが悪く、陰鬱な雰囲気のところも多いのだが、手入れがよいと気持ちが良い。
二手に分かれる林道を右に進み、悟入谷国有林を登っていく。これといった急坂の山場を迎えることもなく、7:09に三重県と岐阜県の県境になる川原越に到着。
先週歩いたばかりのジョンさんからの事前の情報通り、川原越から東の美濃津屋に下っていく東海自然歩道は崩落のため廃止となっている。そこでEDASの示す自然歩道でつなげようと、北の養老山系に進むことにした。
養老山系の稜線を繋ぐ登山道はよく整備されている。スギの植林はされているのだが、登山路の周囲には低木の広葉樹が残されており、木々の間から漏れてくる日差しが心地よい。ときおり麓の町の様子が見えるポイントもある。なぜか東海自然歩道の標識も出てきた。
7:54に津屋避難所に到着して小屋の前で小休止。今回は使わなかったが、中をのぞかせてもらった。きれいに手入れされた避難所だった。地元の山岳会の方達が篤志で建てたものだろうか。頭が下がる。
8:05に行動を再開し、8:32に多芸の台に到着。ここは御嶽山、恵那山が正面に見える素晴らしい眺望。この先は登山路脇にマツが増える。
9:13に養老山(859m)の山頂に到着。すぐに他の2名も到着。人気の山のようだ。ただし山頂からの眺望はない。
次に9:43に小倉山(842m)に到着。ここは足元から海まで続く眺望が見渡せる最高の眺望。多くの登山者が展望を楽しんでいた。
10:09に三方山(722m)を経て、10:53に養老山登山口に到着した。
舗装路をのんびりと下って11:09に養老の滝を見物したのち、清水という店で梅うどんと炊き込みご飯の昼食とした。梅肉に使われている梅干しは自家製で美味しかった。
11:58に行動再開。東海自然歩道本線への復帰点を探してしばらく迷った後に、12:15に妙見橋から本線に合流。養老神社にお参りして、養老を象徴する日本百名水の菊水泉をサーモスに詰めて再出発とした。
12:39に正慶寺を経由して、西の山に進む。いつものように害獣防御柵をくぐるが、この辺りは柵が頑丈で、町全地を取り囲んでいる。
柵に沿って進み、砂防ダムを渡り、さらにスギ林の中を害獣防御柵に沿ってひたすら進む。
東海自然歩道は柏尾廃寺跡と千体仏、勢至南谷、日吉神社と、山道をつないで進み、市街地には下りていかない。
ここまでは害獣防御柵の外側の道ではあるものの、それほど荒廃した部分はなかったが、14:02に少し高度を上げて山の中腹にあった龍泉寺跡に進んだ先は、自然歩道の状態が急に悪くなる。道が消失したところがしばらく続き、踏み跡が見えない。標識もまばらで、ときおり進路を失う。最後は藪を抜けて、コンクリートで固められた法面を滑り落ちるようにして集落の舗装路にたどり着いたが、東海自然歩道歩行者への案内があったので、正しいコースだったのだろう。住民の女性に挨拶をしたが、不審者と思われたのかそっぽを向かれてしまった。
その先も、住宅の間の細い道を通過したり、荒れたスギ林や軽度の藪を通過しつつ、14:50に白鳥神社、15:22に桜井白鳥神社を経て、15:57に久久美雄彦神社に到着。ズボンにはひっつき虫が大量に付着。ここで本日は行動終了とした。
2022年11月5日 東海自然歩道16日目(通算219日) 三重県いなべ市北勢町川原越〜岐阜県養老郡養老町桜井 晴れ 18/8℃ 行動距離19.7km 行動時間9:42 獲得高度2293m 38355歩 行動中飲水量700ml