とりあえず、歩くか。晴れた日は星空の下で寝るのもいい。

週末の九州自然歩道のトレッキングや日常の雑感です。英語版のトレッキングログもこちら https://nayutakun.hatenadiary.com/  で公開しています。

廃線跡巡り 国鉄添田線

 今回は国鉄添田線の廃線跡巡りの紹介。添田線は日田彦山線香春駅から、同じく日田彦山線添田駅までの12.1キロを結んでいた路線。もともとは1915年に東小倉〜上添田間に開業した小倉鉄道。その後は合併と国有化を経て、東小倉と久大本線の夜明とを結ぶ重要な路線であったが、1957年に香春〜田川伊田間に短絡線が完成してから運命が暗転。1960年には城野〜香春〜(短絡線)〜伊田〜後藤寺〜添田〜夜明間が日田彦山線に改称され、香春〜大任〜添田間は添田線として取り残されてしまった。

 その後の磊落は目を覆わんばかり。赤字83線に名を連ね、第1次廃止対象路線となっただけではなく、1978年度には営業係数(100円の収入を得るのにかかる費用を表す数値)3855という日本一の赤字路線となってしまう始末。添田町が赤字路線日本一を争っていた美幸線がある北海道美深町と姉妹町となったのは、自虐ネタだとしてもあんまりだ。

 そんな添田線は1985年3月31日限りで廃止され、現在はそのほとんどが道路になっているとのこと。今日は、そんな添田線の限られた遺構を自分の足で巡る旅。

博多駅から6:36発の鹿児島本線に乗車

小倉からは日田彦山線に乗車

 博多を6:36に出発する鹿児島本線快速に乗車し、小倉には8:05に到着。7番線から3番線まで跨線橋を渡り、8:11発の日田彦山線に乗車。のんびりとした景色を眺めながら香春には8:58に到着。炭鉱華やかなりし往時の風景を偲ばせる駅舎を写真にとどめてから9:10に行動を開始した。

香春駅に到着

ちょうど桜が満開

香春駅

 駅舎から振り返って見えるのが香春岳。頭の部分を1/3ほども削り取られてしまったこの山を見て、五木寛之は故郷と思い浮かべるのだろうが、部外者の自分にはセメント会社の無残な仕打ちに遭ったシンボルとしか思えない。

香春駅から振り返ると香春岳

 古い航空写真を見ながら地図に記入した添田線の経路は、現在の一本松駅の南方までは日田彦山線と線路を共用していたよう。香春駅からは日田彦山線の線路に沿った道がないため、住宅地を縫うように歩き、圃場の中を進み、9:24に御祓(みそぎ)川を越える。

香春駅から日田彦山線に沿った道がない

日田彦山線をジグザグに縫うように進む

セメント工場の向こうに見える香春岳

 9:36に一本松駅に到着。ここは現在、日田彦山線の駅であるが、添田廃線後に開業した新設の駅。添田線の駅ではないが、参考までに記録。

この先で日田彦山線から左に添田線が分かれていたよう

 そこで分岐した後、田川線(旧国鉄田川線、現平成筑豊鉄道田川線)と交差する箇所までは路盤が残るが、レールや橋梁は撤去されているようだ。

路盤は残っているよう

 9:50に田川高校を通過。ここは地域の名門校。平成筑豊鉄道の踏切を渡る。

田川高校前を通過

このあたりは平成筑豊鉄道田川線が走る

 10:00に田川線クロスオーバーに到達。現在の平成筑豊鉄道田川線は、かつての国鉄田川線添田線はわずかな築堤を片方に残すだけであるが、この地点で添田線と田川線は交差していたはず。

添田線と田川線のクロスオーバーに到着

 クロスオーバーから先はわずかに往時の築堤が残されているが、わずか50mほどで築堤はなくなり、舗装路に変わる。

クロスオーバーから築堤が残っている

築堤が途切れたところから舗装路となる

 この真っ直ぐな舗装路が、かつての添田線が転換したものだと考えて間違いないだろう。直線が始まった最初の辺りに上伊田駅があったはずだ。残念ながら駅の痕跡を示すものはなく、その位置は分からなくなっている。ちなみに、平成筑豊鉄道田川線に現在ある上伊田駅添田上伊田駅は別の駅である。

このあたりは添田線が舗装路に転換されたところだろう

バス停上伊田東が上伊田駅跡辺りだろうか?

 歩道のない直線舗装路を進んで、10:20に大任町に入る。桜並木が続く。ちょうど良い時期にここを歩く偶然に感謝。

右にはレンゲ畑

大任町に入る

桜並木が始まる

 YOUMEタウンを通過して、10:32に今任駅跡に到着。旧駅舎が復元され、公園として保存されており、腕木式信号機や車輪などが設置されている。

 さらに桜並木と芝桜に縁取られた直線道路を進む。10:42に道の駅おおとう桜街道に到着。立ち寄ろうかとも思ったが、駐車場は自動車で一杯。先に進むことにした。

 サボテンハウス、大任町役場と通過して、11:14に未成線柚須原線との分岐点を通過した。油須原線も興味のある廃線だ。いつか歩いてみよう。

大任町役場

ここがかつての未成線との分岐

 すぐ先には大任駅跡。11:20に到着。現在は公園になっており、駅名標と駅舎をかたどったような休憩所が設置されている。

 さらに桜並木の道を進むと、彦山川に架かる橋梁構造物が見えてきた。鉄道遺構のようだが、立ち入りできないように柵が施してあり、確認できない。興味をそそられる。

彦山川に架かる橋梁だ

鉄道遺構の雰囲気がする

 この先は切り通しを抜けて、11:47にデイリーヤマザキで飲料水を購入して小休止。

ここは鉄道のために作られた切り通しの法面を補強したような気がする

 11:56に道路脇に砂利敷きのスペースのあるか所を通過。おそらくこのあたりが伊原駅跡であるが、駅の痕跡を示すものはない。

ここが井原駅跡だと思われる

 この先は歩道のない県道を進み、お土産として使われる「めんべい」の工場を通り過ぎ、市街地を通過する。修行僧の人形が現れたその先の添田駅には12:20に到着した。

添田駅

日田彦山線が入線

 添田駅からは日田彦山線田川後藤寺まで戻り、後藤寺線福北ゆたか線と乗り継いで博多に帰るのが常道だが、今回は2017年7月の九州北部豪雨で被災して運休となった後、再開か廃止かで揉めに揉めた後に、ようやく2023年8月にBRTとして再開した日田彦山線添田-夜明間をBRTに乗ってみることとした。添田から夜明までBRTの旅を楽しみ、夜明からは久大本線で久留米まで行き、鹿児島本線で博多まで帰るという大回りルートを選択した。これもまた一興。

BRTに乗車

4378mの釈迦岳トンネルを通過。入口した瞬間に出口の光が見える。

宝珠山駅で休憩

日田駅まで向かうBRTを降りて、夜明駅に。

大肥川を渡る久大本線の列車

夜明から久留米まで久大本線

久留米から博多は鹿児島本線

2024年4月7日 廃線跡巡り 国鉄添田線+BRTひこぼし 曇り 21/14℃ 行動距離13.4km 行動時間3:10 獲得高度132m 27751歩

往路交通:博多6:36鹿児島本線快速-小倉8:05/8:11日田彦山線-香春8:58

復路交通:添田12:47BRTひこぼし9号-夜明13:55/14:40久大本線-久留米15:33/15:52鹿児島本線-博多16:28